メカトロチャンクを缶スプレーで塗る
ハセガワ製プラモデル発売中です!
チャンクはウィーゴよりパーツ分割が多いデザインです。
例えば写真のピンクのラインを青にしたり、パーツの一部を好きな色に変えることで、自分だけのカラーリングを楽しんで頂ければと思いデザインしました。
そういった部分塗装ではなく、思い切って全部色を変えたいと思われる方もいらっしゃると思います。
今回は缶スプレーを使ったフル塗装例を紹介します。
ただし、「極力少ない材料で」 という内容にはなっていません。色々使います。
初心者の方に向けた内容に振り切っていないので、中途半端な記事になっていると思います。
じゃあどういう手法なのか?と問われれば
「僕が一番気楽に全塗装出来る方法」
と言った感じでしょうか。
参考になりそうな部分だけお試し頂ければと思います。
色を決める為に模型屋さんに行こう!
お店にはたくさん塗料が売られています。
頭で考えるのもいいですが、実際に使う塗料を見てダイレクトに色を決めるのも楽しいです。
今回はこの2色を選びました。
タミヤの「灰緑色」と「ライトグレイ」。
メインの色を決めてから、それに合いそうなサブの色を物色。2本買って1000円でお釣りがきました。
買った2色をベースに、配色を考えます。
「マイメカトロチャンク」というアプリを使いました。
買った色以外に、黒ラインと蛍光イエローを入れる事にしました。
お店で細部の色まで考えて購入してもいいですが、一度に決めるのはなかなか難しいと思うので、アクセントカラーは所有色から考えるのも良いと思います。
面積少ない部分は筆塗りでもポスカでもいいし。
塗ってみよう!
パーツを切り離した箇所は、紙やすり等で磨いています。
塗装前に必ず中性洗剤+歯ブラシで洗い、よく乾燥させ、塗装用の持ち手を使ってこの様に。
今回選んだサイズ(100ml)の缶スプレーは、吹き方次第であっという間に使い切ってしまいます。
パーツをバラバラのまま塗ると1缶で足りなくなるので、同色で塗るパーツをなるべく一体化させて塗ります(吹きづらくならない範囲で)
塗装前に缶スプレーをお湯で温めて、内圧を高めるとキレイに吹けます。
直火にかけないように!缶が熱くなり過ぎないように注意を(自己責任でお願いします)
1層目はこれくらい。シュッシュッと素早くスプレーを動かして薄く塗っていきます。
一度に同じ箇所に何度も吹くと塗料が垂れます。
1面1回吹いたら乾燥させ、塗り重ねます。
埃が付いたら乾燥後に細かめのヤスリで軽く擦って除去。
WAVEのヤスリスティック・フィニッシュ便利です。
乾燥させながら灰緑色を3回塗り重ねました。
100ml缶でこのパーツ数だと4回塗りがギリだと思います。
ライトグレイも同様にスプレー。(手前のパーツ群)
ここでしばらく乾燥させますが、もし模型塗装を長く続けられる方には食器乾燥機の購入もおすすめです。
温風の出ないタイプを。
塗料の乾燥以外にも、洗浄後のパーツ乾燥にも使えるし、何より塗装前後のホコリ避けに有効です。
食器乾燥機使用の場合は半日、自然乾燥の場合は1日は置いてから塗り分けたい部分をマスキングします。
今回は頭部側面をマスキングしてライトグレイに。
アクセントの蛍光イエローを塗りたい箇所もマスキング。
今回はこちらのサークルカッターを使用。
径が合う場合、ハイキューパーツの円形マスキングシールが便利です。
蛍光イエローの下地にはクレオスのホワイトサーフェイサーを使用。
その上に蛍光イエローを吹きます。
写真だとキレイに見えますが、手持ちの蛍光イエローが使いかけで古かった事もあり、内圧が弱く綺麗に吹けませんでした。
缶スプレーはとにかくよく振って中身を混ぜてから吹き付けましょう。
隠蔽力高く、つや消し仕上げでとても吹きやすいです。
顔も一緒に黒サフで塗っておきます。
このパーツは完成後に合わせ目が見えなくなるのでランナーのまま塗りました。
今回唯一の筆塗りになる銀色。
手持ちの塗料の中からメッキシルバーNEXTを。
こちらの塗料は黒地の上からエアブラシ推奨ですが、黒い成型色の上から筆で擦り付けるようにして塗りました。
一層目はこんな感じ。薄く何回も重ねる事で筆ムラを回避。
普通の銀塗料やペイントマーカーを使う際には素直に塗りましょう。
デカールを貼ろう!
今回はデカールを多めに貼ってみます。
デカールを貼る際、下地になる塗面は光沢がベスト。
つや消しだと表面が梨地になっているのでデカールが圧着せず、浮いてしまうことがあります。
スケールを考えながら、うるさくなり過ぎないように貼ります。楽しい!
複雑な曲面が無いので、デカールをそのまま貼っても問題無いと思いますが、より馴染ませる為にマークソフターという物を使うのも良いです(僕は基本的に全箇所使ってます)
デカールを貼り終わったら一晩乾燥させます。
乾燥後、クレオスの缶スプレー スーパークリア (光沢)をデカール部分に吹き付けます。
つや消しクリアーでも構いませんが、この後スミ入れを行う際、つや消し面だとスミが滲んで取れなくなる恐れがあります。
スミ入れしてみる
スミ入れには油絵の具をペトロールで溶いた物を使用。
画材屋さんで購入出来ます。こういう用途では一生使い切れないと思うので一番小さい物を買うのがおすすめ。蓋付近も固まりやすいですし。
最近はスミ入れ専用塗料も色々ありますが、油絵具は調色のし易さと、乾燥が遅くて拭き取りのコントロールがしやすい利点があります。
僕は大体、黒・白・茶の三色を混ぜた物でペトロールで薄めてスミ入れしています。
凹み部分に薄めた油絵の具をちょんちょんと。
30分くらい乾燥させてから、綿棒乾拭きでもはみ出し部分は大体綺麗になります。
乾拭きで取れない箇所はペトロールを微量付けた綿棒や筆で拭き取りましょう。
左が乾拭きした状態。
特にコートはしなくてもいいのですが、全体的にマットな質感にしたかったので、ここでクレオスのつや消しスーパークリアーを全体に吹きました。
これくらいパーツ一体のまま吹いています。
銀で塗ったパーツや、透明パーツは曇らせたくないので取り付けていません。
チャンクの目は透明パーツになっていますが、勿体無い気もするけど不透明色で塗った方が眼力がUPします。
今回は白サフの上に蛍光イエロー(共に缶スプレー)を吹きました。
乾燥後、適当な黒ペンで中央を塗ります。
はみ出した箇所はタミヤのアクリル溶剤で拭き取ります(蛍光イエローはラッカー塗料なのでこの溶剤では溶けません)
背中の謎の透明パーツは、裏からマッキーの青と、断面部分を黒で塗りました。
外から見るとこんな感じになります。
やったぜ完成!!
といったところで、全パーツを組み上げて完成!!
せっかく作ったんだからもっと見栄えの良い写真撮れって自分でも思います。
まとめ
結局使った塗料は
- 緑灰色
- ライトグレー
- 黒サーフェーサー
- 蛍光イエロー
- 白サーフェーサー
- 艶ありクリアー
- つや消しクリアー
と、7本の缶スプレーに筆塗り用銀の塗料。
こうしてまとめると「多いな、、」という印象ではありますが、黒&白サフ、ツヤ有無クリアーはいろんな用途に使えるのと、量もあるのでチャンクやウィーゴ数体は塗れると思います。
デカール貼らなければクリアーコート無しでもOKですし。
次に製作する際には、また別の塗料2色だけ購入し、他は今回の物を流用すれば1000円で収まります。
何事も初期投資と言いますか、一番最初に少しお金がかかってしまいますね。
塗料について少し補足すると、普通の白スプレーより隠蔽力が高いので白のサーフェーサーを使っています。
黒は普通の黒よりサフの方が薄く吹きやすい様に感じます。
共に完全にマットになるので好みはあると思いますが。
クリアーに関しては、クレオスの水性プレミアムトップコートが近年評判が良いのですが、僕はまだデータが残るほど使えていないので何とも言えません。
おまけの感想
今回の方法は万人にとって「これがベスト!」では無いかもしれませんが、自分の経験上あまり間違いが無いと感じつつ、ストレス無く塗れる技法を紹介してみました。
缶スプレーの塗装にもコツはいるので、絶対失敗しないとは言えません。
エアブラシ&コンプレッサーも所有していますし、筆塗りで作り切る事もありますが、一番気楽&早く塗れる方法はこれかなあと僕は思っています。
実際作っててめちゃくちゃ楽しかったです!!
近年は完成見本として綺麗に作るか、成型色のまま組んで少しだけ色を足す作りが続いていました。
これは目と頭のラインをポスカ、顔のラインをペイントマーカーで塗っただけ。
こういう本当に気軽なプラモ作りも楽しく感じていたのですが、今回全塗装してみて、改めてまた別の楽しさを痛感しました。
オンリーワン感が強まるのが良いのか。
手間暇かけて上手くいった時に快感を得ているのか。
思い当たる理由は幾つかありますが、そういう事考えるより先に感情がね、
「、、いいじゃん!!」
って前のめりに顔を出してきます。塗装ベリベリ楽しい。
元々全塗装が当たり前という感じで模型を作り続けてきましたが、まとまった時間が取れない事も手伝ってか、次第に億劫に感じる様にもなってて。
あと、塗装にまつわる作業って選択肢が多いんです。
「ツヤの有無」「汚し有無」「デカール有無」「塗料の種類」
どれを選ぶかで工程も変わるし。
「模型簡単に楽しめますよ」
とも言えますが、色々考え出すとかなり複雑です。
プラモ製作ガイド的な本も沢山出てます。やっぱり細かく一通り説明しようとすると、1冊や複数冊分になってしまうんですよね。
ブログの1記事やツイートの文字数ではどうしても伝えられる事に限界があります。
(長過ぎるとなかなか読んでもらえないですし笑)
僕は日本一、世界一凄い技術を有したいとは全く思ってなくて、近年はなるべく色んな人が再現出来る技法を模索してます。
少し専門的な材料を使う事もありますが、結果的にそれが楽だったり、効果があると思う技法を紹介しているつもりです。
模型の製作・塗装方法は人によって言う事がかなり違います。
そのせいで混乱する場面に遭遇する事もあると思います。
模型を始めたばかりで、色々分からないという方は
「自分好みの作品を作ってる人の話だけを聞く」
のも有効だと思います。ブレが最小限で済みます。
幾つか模型を完成させる過程で自分に合う技法、合わない技法、自分なりの最適値みたいなものが見えてくると思います。
ウィーゴのプラモでヤスリがけから「ちょい塗り」「缶スプレー」「エアブラシ」それぞれの手法で製作してるので、未見の方はそちらも是非御覧ください。
モデリズムのはてなのハウトゥ記事は、他の模型製作時にも参考になると思います。
でも、まずは久々の完全新規モデルなので、皆さんも「メカトロチャンク」是非作って下さいませ!笑
僕ももう一体、全く違う塗り方で仕上げるつもりなので、また記事にまとめますね。
長文お付き合いありがとうございました。
モデリズム/小林和史 Moderhythm / Kazushi Kobayashi
2019/01/11 記