モデリズムのはてな

モデリズム・オリジナル企画の解説ページです。「メカトロウィーゴ」他、オリジナルロボットを作っています。

番外編/時短プラモ「オリジンガンダムを作る」

 

・はじめに

このブログは「メカトロウィーゴ」など モデリズムの創作物に関する記事を書く場所なんですが、 今回は番外編としてガンプラを作ってみました。

  

プラモデルは基本的に枠状の「ランナー」と呼ばれている枠に「パーツ」が配置されていて、それをニッパーで切り離して組み立てる物です。

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パーツを切り離すと「ゲート跡」と呼ばれる切断面が現れます。

これをヤスリで磨いて平滑にします。パーツが多い程時間もかかる面倒な作業です。

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パーツ分割の都合で、設定には無い「合わせ目」が出来る箇所もあります。

こういった箇所を消すには、接着剤でパーツを貼り合わせ、乾燥後にヤスリで磨いて平滑にする必要があります。これまたとても面倒です。

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僕は小5くらいからずっとプラモ作っています。模型誌に掲載されていた作品に憧れ、次第に色々な技法を習得してきましたが、いつの間にかこれらの作業は模型を作る上で「必然」となっていました。自分の中で。

  

でもね、とにかく時間がかかる。

まずプラモを仮の状態で組み立ててみる(仮組みという)。各所の確認をした上で一度分解し、接着出来る部分があれば接着する。ゲート跡の処理、合わせ目消しをする。パーツを洗う。沢山あるパーツに持ち手(塗装時に持つ部分)を付ける。そしてようやく塗装をする。

たまーの休みに「プラモ作るか」と思っても、一日でパーツを磨き終えるのは結構大変。ウィーゴなんかは何とか出来るけど、ガンプラだと僕は1日じゃ基本的に無理です。すると「続きはまた今度、、」となり

 

箱を閉じる→積む→何年も年を越す

 

となったプラモが一体幾つあるのやら。

振り返ってみると昨年趣味で完成したプラモ(ウィーゴ関連以外)あったっけ?

一昨年は?その前は?え、1年に幾つプラモ買ってるの?

ごめんなさい!(気絶)

 

何年も前からハッキリと気づいていました。

「いつか作る」なんて時間は永久にやって来ないと。

でも今現在割ける時間は限られている。

じゃあ作り方を変えてみよう。

 

ガンプラの場合、僕は真剣に挑んでいた過去があるので、やっぱり個性の出る塗装はしたい。

じゃあ時間のかかる

ヤスリがけを思い切ってやめてみよう。

ランナーのまま塗装して、パーツを切り離して組み上げるのなら、相当早く作れるのではと。

実は小学生の頃に作ったガンプラはこの方法だったんだけど、今は昔よりプラモの出来が格段に良いし、色々誤魔化しの技術もあるから意外と見られる仕上がりになるかもしれない。

 

という訳でモデリズムの時短プラモスタートです。(前置き長っ!)

 

・いきなり塗る(1日目)

今回作るプラモは1/144のオリジンガンダム。君に決めた!

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まずは白部分をガイアノーツの「ウォームホワイト」で塗装。ランナーに付いたままエアブラシで一気に。 ゲート後やパーティングラインをどうするかは組みながら考える作戦です 

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他の色はガイアノーツのメカトロウィーゴカラーを使用。 黄色は「れもん」 赤は「らいとおれんじ」で。  塗ってる時間より乾燥待ちの方が長い。

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 青は「みずいろ」。関節等のフレームにはウィーゴカラーの「あっしゅ」(画像のラベルは市販品と違います)。武器やランドセルはバーチャロンカラーの「マーズライトグレー」。

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製作を思い立った日の午後から順々に塗り始め、一通り塗り終わったのが5時間後でした。塗り始めて気付いたんですが、こちらの画像右側の様に予めランナーのゲートを最小限にカットしとけば良かったなと。次からそうします。

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塗り終わったら一晩しっかり乾燥させます。

 

・組み立てる(2日目)

よく切れるニッパーと新品の刃を付けたカッターを用意して、ゲート跡がなるべく残らない様にランナーからパーツを切り離します。 

パーツ切り出す際はまず余裕持ってランナーを多めにカット。それからパーツの際を切る様にしないと、高確率で塗面を痛めます。痛めました。

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このプラモはパーツの合いがタイトなので(製品精度が高いので本来良い事です)塗膜の厚みが悪さして綺麗にハマらない部位も幾つかありました。組む際に「キツイかも」と感じたら無理をせず、組み立てピンに付いた塗料をカッターなどで削ぎ落しましょう。

 

一度組み立てたパーツを分解する際にはパーツオープナーを強くお勧めします。

 

カッターの刃などでこじ開けがちですが、間違いなくパーツが傷付いたり変形したりします。刃の厚みと幅があるこの道具を使うと、少ない力でパーツをあまり傷付けずに分解出来ます。定価380円+税。


オデコのひさしのゲート跡は、どうしても気になったのでヤスリをかけました。顔はどうしても目が止まりますからね。

アンテナに製品安全状付いてる余分な突起もカットしてヤスリがけ。

オデコ部分と合わせて再塗装しました。

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股間のV字モールドは塗り分けが必要だったので、マスキングしてエアブラシ塗装します。目の周りの黒は、はみ出しても専用シンナーで拭き取れるエナメル塗料で。黒だとコントラスト強くなり過ぎるのでジャーマングレーで。 

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鼻部分の逆V字モールドや頭側面の黒穴もエナメルで。側面はモールドが浅い部分があるので、出来るだけ四角く見える様に綿棒や筆で形を整えつつ、最後にシンナーを微量含ませたフィニッシュマスターで綺麗に拭き取ります(綿棒より格段に使い勝手が良いので、ここぞという時に使っています)。 

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ここでちょっと寄り道。

セガワのフィニッシュシート の白に各色を塗り、短冊状にカットして切り離したゲート部分に貼ったらどうだろうと試す。 んーー。 思ったより好みじゃ無かったのでボツ!ディティール多いキットで、もっとコントラスト強い色なら、濃いグレーなどにして貼ると良いかも。いずれ使う機会があればやってみます。

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一旦出来た感あるのでパチリ。 キットの箱開けて昨日塗装に5時間。今日は組み立てと細部塗りに7時間の週末塗装プラモ。思ったより満足度高い。これで完成でもいいな。

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・スミ入れする(3日目)

 昨日までの状態もトイっぽくてよかったのですが、今回は自分が真面目に作ってた頃のガンプラに近い雰囲気の物に、時短製作法でどれくらい近づけられるかという実験でもあるので作業を続けます。 

 

スミ入れには油絵具を使います。混色して好みのウォームグレーを作り、無臭ペトロールで薄めながら墨入れします。

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プラモデルにエナメル塗料を使ってスミ入れをするとシンナーの成分でプラが割れる事がありますが、僕は1992年くらいからこの手法で作り続けていて、一度も割れた事が無いのでかなり安全だと思います。

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フレーム部分や武器にはちょい暗く混色してスミ入れ。

1時間半かけて全体にスミ入れをしたら、最初にやった物が割と乾いていたので、ティッシュの乾拭きで余分なはみ出しを拭いました。油絵具は乾燥が激遅いので、 塗面が艶ありなら綿棒やティッシュにペトロールを付けなくても綺麗に取れます。凹みまで拭き取る恐れがある場合はもっと乾燥させてから。翌日でも乾拭きで大丈夫。

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ここまで墨入れ〜乾拭きで2時間でした。

 

面倒で後回しにしてたゲート跡のリタッチをしました。 パレットに塗料を爪楊枝で2滴くらい落とし、リターダー(オレンジ蓋)をちょんと落として攪拌。乾燥を遅くした塗料を薄く塗ればボテっとなりません。

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まあゲート跡は分かるんだけど、ちょっと離れたらもう老眼には見えないのだ。

この作業に1時間半。 

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次にデカールを貼ります。完全に好みで自由に。

ハイキューパーツさんのライトグレーの物をメインにちまちま貼りました。1/100用しか手元に無かったので、文字が読めない小さめの物を選びつつ。僕は極力読める文字サイズの物はガンプラに使いません。数字系以外は。

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考える時間が圧倒的に長く3時間かかりました。デカールは水分が飛ぶまでしっかり乾燥させます。一晩放置。

 

あ、肩のマーキングはキット付属のシールを使用しました。デカールより厚みがあるので段差が目立つ為迷ったのですが。手元に代替えデカール無かったので。

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・クリアコート&組み上げ(4日目)

  ガイアノーツのフラットクリアーを使い、エアブラシでデカールのコートと艶の調整をしました。完全な艶消しより微妙に艶が残る感が好みでこれを使っています。

薄吹きで2回くらい吹いて乾燥。 作業時間は1時間くらい。

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乾燥させてる間に、忘れていたノズルとバズーカ中をメタルカラーのアイアンで筆塗りしました。メタルカラーは塗りやすいし、軽く磨くと金属感出て最高ですが、手など汚れやすいので注意。僕も今回塗装面触って汚してしまいました(艶消し面は要注意です)。

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あとは組み上げて完成!

 

・できました

 

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このプラモの出来がめちゃくちゃ良いとはいえ、

想像してたより見れる!!

かっこいいー!!

 

よく見ればゲート跡分かりますし、綺麗に処理した方がそりゃ見栄えいいですよ。作業上の苦労は報われますから。

でも トータル約20時間 の作業でこれが出来るなら、僕にとって超有効な製作法です。デカ―ル貼らなければ2日でも出来そうかな。いいぞ!

 

ちなみに2016年に模型誌作例様に、まじめに丁寧に時間かけて作った1/100のオリジンガンダムがこちら。

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印象変わんないって言われると複雑な気分になるけど(笑)。

時間対効果としては今回の手法、圧勝じゃないかと。

 

老眼になってから丁寧な細かい作業が本当にキツくて、実はこの1/100作ってる時に

「あ、もう自分が真剣に作るガンプラ、これが最後だな」

って感じていました。

でも家にストック沢山あるし、新製品出たら買ってるし、どうすんだよこれと思いつつ、何か別の製作法を確立したいなと常々考えていて。

自分の作風を変えずに時間をかけない製作法、その中の一つが今回の手法でした。

 

やってみて気づいた事があります。

最初の塗装の所でも書きましたが、

 

◆予めゲートを最小限にカットしておく。

リタッチする箇所が減るので楽になります。エアブラシ吹きやすくもなる。

 

◆単色の武器は予め組んで、面倒じゃなければ合わせ目消してから塗るのが良。

ズバッと一直線に合わせ目が入る物は、見栄えが大きく変わるのでやった方が良かったなと思いました。それほどパーツ多く無いし、組んだ後は砲身に棒差して塗れるから手間が増える感もあまり無いなと。

 

といった感じで、改善点を盛り込みつつこの技法を自分の中で確立させたいので、近日もう一体11/144のガンプラ作ってみます。

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その後1/100に移行予定。大きい模型にはもう一段試したい技法があります。

作業時にはツイッターで #時短プラモ のハッシュタグをつけてツイートしますので、チェックしてみて下さい。そんな頻繁には作れませんが。

 

あ、ガンプラもいいけどウィーゴもね!

ウィーゴはこの技法でもいいですが、パーツ切り離してヤスリがけしてもそんなに時間かからないので従来の方法でも。

というか、僕は基本成形色のままで、ポスカのちょい塗りが大半です。遊びやすいし!

この「モデリズムのはてな」にはウィーゴやチャンクなど、僕のロボットを色んな技法で塗った記事がありますので、目次から是非チェックしてみて下さい。

 

 

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追記

ガンダムmkⅡを作る

 立て続けにもう一体作りました。

ネタはガンダムmk2。194番の「リバイブ」版です。

(↑近年カッコよく作り直された版、と思って頂ければ)

 

前回の経験を活かして合わせ目が目立つ武器パーツは予め接着しました。

その他、例えば下腕なんかは片面だけ切り離し、組み付けた状態にして塗ってみる事に。下腕以外にもスネ側面カバー、肩、アンクルガードも片面だけ切り離して組みたて(後で外すので奥まではめ込まない方が吉)。他、保持出来る最低限までゲートをカットして減らしてます。 その際、ちょっと気になるゲート跡は軽くペーパーかけてみました。 フレームパーツも同様に。

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頭は目立ちそうなので予め切り離してゲート処理しました。合わせ目は面倒なので消しません。 ツノはオリジンガンダム同様に安全上付いてる突起を切除してヤスリがけ。もっとシャープに、とかはやりません。疲れる事はしないのが俺のジャスティス。ここまで1時間半。

 

今回本体のブルーと黒に初めて純正ガンダムカラーを使ってみました。

その他の色も全部いわゆる瓶生のまま。作業時間2時間10分くらいで全パーツ塗り終わり。

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目の周りの黒を塗りつつ2時間くらいで組み上げ。 

更に2時間かけてスミ入れ。今回使ったクレオスの色が半ツヤの為、スミ入れの際にはみ出した部分が落ちなくなるのを恐れ、一気に拭き取りまで。

ゲート跡のレタッチを30分。 その後キットの「03」シールを貼る。水を付けてから貼ると位置調整出来て良いです。他、市販デカール貼りを2時間半。

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しっかりデカールを乾燥させた後フラットクリアーでデカールコート。持ち手付ける準備含めて1時間半くらい。 

乾燥後、武器のスミ入れと最終組み上げなどに1時間。

と、駆け足ですが今回は箱を開けてからトータルで16時間でした。

 

・mk2完成

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オリジンガンダム同様、両手に武器を持たせているのは、気になる手首の造型が見えなくなるからです。バズーカってあんまカッコよく持てないので本当は持たせたくないんだけど。

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目やセンサー類はキットのシール。キラッとしてカッコいいです。以前はこういうシールは使わなかったんですが、効果的に使われている作品をツイッターで見て良いな~と。勉強になります!

シールの周囲の面をエナメル塗料のジャーマングレーや黒などの濃い色を塗っておくと馴染みが良くなると思います(締まって見える)。

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背面は味気ないですね。ノズル内側赤くすれば良かった。これも好みで昔から避けてた部分なのですが次は塗ってみよう。

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我が最愛のカミーユ最初の乗機、黒いガンダム3号機を人生初完成出来ました。

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先日のオリジンガンダムとの対比。

色味全然違う 笑。

ちなみにオリジンの赤部分と、mk2の黄色部分は同じ色です。面白いでしょ。

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ではでは。

模型は時に真剣に。時にお気楽に。

自分が楽しめる作り方で~。